You've got mail #5
怪人二十面相からの手紙
2007年8月17日(金) 開演 午後7時
2007年8月18日(土) 開演 午後3時
文京シビックセ ンター・小ホール

<演奏曲目>
第一幕
・ 「ディズニーメドレー」
ハイホー(全員)、美女と野獣(全員)、ビビディバビディブー(林/
多岐川)、くまのプーさん(下牧)、オオカミなんて怖くない(男声)、
スパカリ プラジ(全員)、くまのプーさん(下牧)、ベラノッテ(岡田/
多岐川)、星に願いを(大地/全員)、強いぞガストン(山田と合唱)、
アンダーザシー(全員)
・ クレメンタイン(ピアノ演奏)
・ 歌の翼に
・ 俺たちはサルじゃない!
・ こいのぼり
・ 愛の花咲くとき
・ 歌になりたい
・ この広い野原いっぱい
・ モーツアルトの「手紙の二重唱」
・ 心をゆらして
・ リスト「愛の夢」(ピアノ演奏)
・ だからみんなで
・ この星のどこかで
第二幕
・ 小さな空
・ 浜辺の歌
・ カルメンより 「ハバネラ」
・ フィガロの結婚より 「手紙の二重唱」
・ フィガロの結婚より ケルビーノ「恋の悩みを知る君は」
・ surprise!
第三幕
・ ネッラ ファンタジア
・ すみれの花咲く頃
・ ゴンドラの唄
・ ハッピーバースデー
・ ONE
・ ありがとうのうた
<演出・脚本 福原正美>
ご来場いただいた皆様、ありがとうございます。
この「手紙」をモチーフにした公演が、今夏で5周年を迎えることが出来ました。
皆様のおかげです。深く、感謝いたします。
今回、5通目は「怪人二十面相の手紙」と題して、はじめから謎めいた幕開けをしたくなりました。
少年探偵団とその団長・小林少年、そして名探偵・明智小五郎が怪人二十面相を追いかけて推理あり、冒険あり…の物語は、子供の頃にワクワクしながら読みふけったものでした。この物語に登場する怪人二十面相は変幻自在の怪盗とも言えます。ところが今回の舞台では、怪人二十面相は盗賊でもなければ、怪盗でもない。もちろん、ケチな泥棒でもない。
「物を獲らない」
と、設定してみました。なので、ご来場いただいたお客様方には、お馴染みの怪人二十面相とは、ちと違った印象をお持ちになると思います。
では、なにを獲るというのでしょうか?
ここで話を変えましょう。
咋今、「冬のソナタ」を出発点として、韓流ドラマが相変わらず根強い人気を保っています。まっすぐな物語を展開しています。登場人物の設定がわかりやすく、それでいて、美しい。
とくに、「初恋」をテーマに背景に流れる音楽がすべてバラードであればなおのこと、美しさに透明感が加わってきます。韓流ドラマの安定した人気の秘密は、このまっすぐな物語性と「初恋」という絶対的美意識にあるのではないか、とおもうのです。
ボクも見ました。見るたびにさんざん泣かされっぱなしです。
で、思いました。韓流ドラマって、「怪人みたいだあ」と。
ボクの「心を奪ってしまう」から、です。じっと見続けてしまう。 トイレにも行かせてくれない。画面から目が離れないのです。時間が経つのも忘れてしまう…。
そんなポクの体験から気づいたのが、「怪人の魅力」でした。
韓流ドラマという怪人、なのです。あの「初恋」というキーワード。さわると危険、まぜるな危険…洗剤の注意書きでもあるまいし、わかっているのです、その危険性は…。なのに性懲りもなく、今回はどんな「初恋なの?」と、またしても、わかっちゃいるけど、「怪人の魅力」に心奪われて、その虜になってしまうボク。
きっと、「怪人」の虜はボクだけではない、と思うのです。誰もが共通して、ひっかかる「罠」、それが「初恋」だ、と。
わかっているんです、この「罠」を。
わかっているんです、この「虜」になる自分を。
それでもいい、そこに登場するヒロインの「初恋」の行方を知りた
いのです…。
「怪人」の仕掛けた「罠」、韓流ドラマの「初恋」が心から離れな
い!
もう、絶対にこれは「怪人の罠」とか言いようがありません。
そこで、ボクはこの「初恋」という「怪人」と対決したくなったのであります。
韓流ドラマは、ボクたちに一方的に「初恋」を押しつけてくる。そして、ボクたちはその「罠」にはまる。悔しいじゃないですか!
なので今回の舞台は、その反対にしてあげようと思うんです。
韓流ドラマ「初恋」を、「怪人」にお返ししてあげよう、という訳です。
「怪人」が「初恋」をしたら、どうなるんでしょう…ねえ。
そして、あの名探偵・明智小五郎先生は? 少年探偵団の諸君は?
どうあれ、この舞台「ユーガットメール」はジャンルを超えた音楽が柱になっています。
今回、皆様には耳馴染みの「少年探偵団の歌」はあえて歌いません、
なぜなら、あんなに元気いっぱいの戦意高揚的行進曲風な歌は、今回の「初恋」には合いそうにないと判断したからです。
♪勇気凛々瑠璃の色…とか
♪朝焼け空にこだまする…
と、聞けば、鉢巻き襷姿で「ソリア~~」とかけ声を掛けたくなりますから、ね。
「少年探偵団」の物語を理解できる少し前の若い年齢層の人気キャラクターといえば、「ドラえもん」でしょう。この歌たちの方が、この舞台には似合っているように感じますが、いかがでしょうか…。
さあ、今回の舞台では、様々に冒険をさせていただきましたが、役者さんたちも様々な冒険をしているんですよ。
まずは、北海道から来た松本大地さん。いまや日本ハムの公認応援歌、「ありがとうのうた」の歌手として地元では大変な人気者ですが、意外にも、今回の舞台が「初舞台」なんです!
「初…」だそうです。
「台詞…大丈夫でしょうかねえ?ドジつたら、パア~なんでしょ…どうしよう…ヤバイなあ。なるべく台詞は少しってことにして欲しいなあ…だめっスかねえ?」と、練習初日から腰が引き気味。で、かる~く、台詞を読んでみたら…なるほど、全然ムリでした。「デビューするんだから、素敵な役をあげたかったのに…残念」そう言ったとたん「やりますよ、やりますって!頑張りますから」「ほんとに?」「ほんとに! 初、ですから!」
ねツ、松本さんも「怪人の虜」になったでしよ!
どんな人だって「初…」は怖い、でも「初…」には特別な気持ちが湧いて、魅力いっぱいなのです。
芝居はド素人という松本さんが果たしてどこまで精進しての初舞台になるか。
皆様のあたたかい、ご声援を!
「初…」つて人がもうひとり、この人にとって、こうしたミュージカル風な舞台は「初物」です。
ボクが見つけちゃったのです。紹介しましょう、「片岡晋作さん」です。
柳沢三千代さんが出演したWAKUの舞台、TARAKOさん作・演出の「MAGIC」を見たのです。そのとき印象に残って消えなかった役者さんが、彼、でした。舞台上での「笑顔」つて表現は、実は、役者さんたちにはけっこう難題なのですよ、ここだけの、ヒ、ミ、ツですけど…ね。怒ったり、叫んだり、怒鳴ったり、泣いたり…という大声出しての演技って、練習さえすれば、それなりの演技に見えるものなんですね。でもねえ、印象的な「笑顔」をする役者さんは、そうそうお目にかかれるものではありません。皆様、高倉健さんをご存じでしょう。かの名作「遥かなる山の呼び声」(山田洋次監督作品)のなかで、子供と遊ぶシーンがありましたが、そこでの「笑顔」は透きとおっておりました。あれこそ「男の笑顔」ですねえ。でね、この片岡晋作さんですが、舞台上で瞬間「笑顔」を見せたんですよ! ピカツと光った、ですよ、その瞬間。誰? この役者サン? あ~あ、ボクはここで「怪人の虜」になったという次第です。ボクもTARAKOさんの演出にちなんで、こっそり晋作さんにある場面で「笑顔で」との要望を出していますが、果たして皆様に、見つけていただければ感激なのですが…。
このことを、三千代さんに恐る恐る電話報告。「乱暴なお頼みと承知で言います…晋作さんを舞台によべませんかねえ…」と。「晋作クン!? え!? ありがとうございます。聞いてみます」ダメモト覚悟の上でした。すると、彼の所属するカードプロモーションの代表・柿崎裕治様も快く承諾してくださったのです!もう、奇跡ですよ、ボクにとっては!
晋作さん日く、「舞台で歌うのは…初めて、です」とおっしゃる。ねツ、ここでもまた「初…」がでましたぞ。果たして、オペラ界の声優たちに混じって、晋作さんがどんな歌いっぷりをしてくれますか…。
それでは「怪人二十面相からの手紙」を、ご存分にお楽しみください。
…ふくはら まさみ…