ユーガットメールとは
【おとぎ話みたいな出逢いから始まった舞台でした…】

2012年8月23日/24日 「英雄からの手紙」より (前列左から)福原美波 岡田誠 中西勝之 (後列左から)伊藤慧 矢部祥太 厚澤理奈 山田展弘 林蘭
「月日の経つのは、ほんとうに早いなあ」…って、ボクは感じます。この劇団の歴史(というには、まだ早すぎますが…)を聞くと、まるで、おとぎ話でも聞いているみたいです…。
今でこそ「劇団ユーガットメール」は、なんとか皆様に知られるほどになりましたが、元々演出・福原、声楽・岡田、ピアノ・田中の3人が創った音楽会は、どこでもある見慣れた「ピアノとボーカルコンサート」でした。
会場も原宿駅近くにある70人が満席程度というとても小さなホール。でも、演奏会の当日は満席になっていました…。
違っていたのは、単なる音楽と歌を聴くコンサート…ではなくて、まで舞台からはけいる岡田君に福原は、その場で「おしゃべりの原稿」を手渡し、唄う歌の歴史やエピソードなどを話してもらったり、練習中の3人のことを話してお客様にくつろいでいただいたり…。とにかく、「おしゃべり付きのコンサート」になったのです。
演出を担当した福原は、当時言語学のゼミをしている講師でした。
岡田君は福原のこの講義に参加して、ふたりは知り合いになっていました。
当日のピアニストは、田中慶子さん。当時はまだ、アメリカ・ニューヨークにある音楽大学の学生でした。出会うことがなかったバラバラの3人が、どうして出会えたのか…、コンサートを開催するまでに親しくなったのはなにがきっかけになったのか…。
それが「PC文通」、そう「メル友」だったのです!
あの当時の映画でヒットした作品は、メグ・ライヤンとトム・ハンクスの「ユーガットメール」です。東京・板橋のアパートにいる福原とアメリカ・ニューヨークの音楽大学に通う田中がAOLサイトで知り合い、「メル友」になった…というのが、このコンサートの始まりでした。
ですから、この舞台は「ユーガットメール」が題目になったのです。
「手紙」との出逢い…、ともいえます。演出を担当する福原は、「手紙」というモチーフをだいぶ気に入っている様子。様々な手紙を舞台で紹介してきました。嫁ぐ日間近の娘から実父への手紙、故郷を離れて都会で働く我が子に綴った東北の母親の手紙、単身でアメリカに赴任している記者の書いた手紙…そして、実在する文壇の作家たちが書き綴った手紙たち、夏目漱石、正岡子規、秋山真之などの手紙のほか、山川登美子、与謝野晶子の和歌を綴った手紙など…、実に多彩な手紙文をこの舞台では紹介しています。
この舞台の主役とも言える「手紙たち」を読み続けてくれるのが、柳沢三千代さんです。
第3回から先日の14回目まで、ずっと読み続けてくれました…。この舞台では三千代さんのあの朗読を聞きたくてお越しいただくお客様もいるほどです。
彼女は皆様もよくご存じ、アンパンマンでは「カレーパンマン」の声優としてとくに子供たちには人気者ですが、元々声優としてのキャリアは豊富です。その力量を「ユーガットメール」の舞台に踏襲してくれます…。
おとぎ話みたいですが、「月日の経つのは、ほんとうに早いなあ」…って、ボクは感じます。
本コンサートを企画したのが今から12年も昔のこと。
あれからずっと、友達みんなで続けてきましたから、その頃生まれた子供たちは中学1年生です…。



三谷幸喜さんの「オケピ!」で、一躍スターダムにのし上がった岡田誠君とニューヨークに留学中の学生さんのピアノ演奏だけで始めたコンサート。
「ユーガットメール」と銘打って、観客席70人程度の原宿にある小さいホールでの公演でした…。
あのときは岡田君もボクも、まさか、こんなに長い年月を経ても続くとは思ってもいませんでした…。
もちろん、これはお客様みなさまのあたたかい励ましと、激励のおかげです。
第2回から、いきなり350席もある「文京シビック小ホール」に移動です。岡田君の大学の先輩でもある山田展弘君が参加。二期会のソプラノ・青木雪子さんも参加して、クラシックコンサートのような舞台を創ってみました。
第3回から、柳沢三千代さんが出演です。
彼女は皆様もよくご存じ、アンパンマンでは「カレーパンマン」の声優としてとくに子供たちには人気者ですが、元々声優としてのキャリアは豊富です。その力量を遺憾なく発揮して、印象に残る手紙の朗読を続けていただいております…。
昨年から年に2回公演が実現できるようになり、「夏休みのコンサート」だけではなく、「春休み」にも出来るように育ちました。
発足当時のファミリーコンサートのコンセプトを継続していますが、「春休み公演」は、ヤングパワーの登場チャンスの舞台を作っていきます。ですから、「夏休み公演」とは、幾分違っていると思います…。
入場者の年齢制限をなくして、ご家族でお楽しみいただける「音楽と手紙朗読とお芝居」の3つを組み合わせた舞台をこれからも作り続けていきますので、ご声援、激励などなどなど今後ともよろしくごひいきくださいますよう、お願い申し上げます。

手紙朗読は、青二プロの柳沢三千代さんが3回目から担当してくださっていますが、いままで、 実際に書かれた文学界の女流作家・山川登美子、与謝野晶子の手紙なども朗読してくれました。
東北地方の方言そのままに、お母さんから息子へ宛てた手紙を読んだり、ひとり暮らしの都会の女性の手紙、新聞社海外支局長からの手紙、嫁ぐ日が間近な娘が書いた父親への手紙などなど…。
そして、昨年の夏には、夏目漱石と正岡子規の実際の手紙朗読…と、思い出してもずいぶんな内容に挑戦していただきました。
最近の稽古では、雨宮彩葉さんのピアノをBGMにしての朗読が多いので、付きっ切りで稽古している風景はいまや、ユーガット劇団では名物になっています。録音したり、やり直したり…、ふたりで納得がいくまで台本を読み合っています…。
劇団AUN(吉田鋼太郎・主宰)から林蘭ちゃんが登場したのは、第4回「悟空からの手紙」でした。この辺あたりから、
ありがちなファミリーコンサートから脱皮して、芝居中心の舞台としてしっかりとした劇団に育つ足がかりを作りました。
蘭ちゃんの芝居根性が、全員に演技する楽しさを伝えてくれたようです…。
音楽ジャンルもますます広がって、オペラのアリアからディズニーミュージック、唱歌に歌謡曲、ミュージカルソングに世界民謡と、全ジャンルの音楽を使い続けています。
第2回からはピアニストの石野真穂さんがレギュラーとして活躍。第3回には客演ピアノで藤井亜紀さんにも登場してもらいました。クラッシック音楽と役者さんたちの歌声…。二期会の林美智子さんに登場していただいたり、と豪華な舞台に育ちました。
すべて、「ナマ音」がこの「ユーガットメール」の当初からのコンセプトなのです。ですから公演中、役者さんの誰一人としてマイクを使用していませんし、演奏もすべてナマ演奏です。
そして、舞台は「カラ舞台」。ピアノがポンと置いてあるだけの舞台です。
物語のイメージを固定化したくない…との、演出的効果も狙った舞台ですが、照明の光と色で皆様にお楽しみいただこうとの演出効果もだいぶ見慣れていただけたようです。


そんな舞台を13年間、続けてきました。ここまで来られたのは、みんなの努力はもちろんですが、お客様が足を運んでいただけたからです。
そして、第9回「ピーターパンからの手紙」から雨宮彩葉バンドと朗読、芝居との組み合わせは今まで以上の厚みを観客に提供できたようです。それ以後、ずっと雨宮バンドは「ユーガット」と組んで、いまではなくてはならない存在になってしまいました。「お芝居を邪魔せずに、効果的に演奏したい」のが、雨宮バンドの主張にしています。
今回は、「英雄からの手紙」です。
さあ、日本全国から、どんな手紙が届くのか…お楽しみに。
もちろん、歌もお芝居もいつものとおり、です。
では、2015年8月28日、29日に滝野川会館でお目にかかりましょう!