You've got mail #11
「優等生」からの手紙
2013年8月9日(金) 開演 午後7時
2013年8月10日(土) 開演 午後1時/午後6時
北区滝野川会館・大ホール

<演奏曲目>
第一幕 ・ 一場
・愛のためにしてきたこと
・モルダウより 「男は大きな河になれ」
・月光仮面の歌
・あまちゃんのオープニングテーマ
・おもいでのアルバム
・千曲川
・虹の彼方に
二場
・「椿姫」 より 「乾杯」
・「リゴレット」 より 「女心の歌」
第二幕
・星の界
・埴生の宿
・野ばら
・フニクリ・フニクラ
・サンタルチア
・朧月夜
・ヨイトマケの歌
・想いの届く日
・明日があるさ
・俺たちはサルじゃない!
ピアノBGM
・フラワーM
・春のワルツ
・クレメンタイン
・I think you love me
・ラブ・ポエム
<演出・脚本 福原正美>
「あれッ…?」
今年のパンフを手にしたときに、そんな驚きがあったのではないかとお察しします。とくに常連様には…。
いままでの明るいイメージとは大幅に違っていたと思います。いままでの10年間は、「ファミリーコンサート」の色合いを強く押し出していたので、パンフ編集スタッフは、明るく、健康的な印象でデザインしてきたようです。それがこの表紙デザインになったきっかけは、実は、昨年の舞台なのです。
昨年のステージで皆様から数多くのご高評をいただきました。「いままでとは違った感動が伝わってきた…」と。
私たちは、皆様からのご高評を聞かせていただけることが、最大の歓びです。特に、林蘭が扮した「初」と、「奥様」を演じた柳沢三千代の場面が強く印象に残っている…とか、少年を演じた福原美波の演技がいい、とか。矢部祥太の「曹操の短歌行」を原語で詠んだ場面は圧巻だった…とか。とにかく、皆様のそうした感想がどれほど私たちたちに勇気と希望を与えてくださっていることか…。
11年目を迎える我がユーガットメールカンパニーとしては、「音楽ステージ」だけは、これまでどおり続行していくとして、「物語」と「その演技」にも力を注いでいこう…と、なりました。
両眼がほとんど見えなくなった座長・山田展弘も、「確かに音楽的は他にはない舞台なのでこのままでいいと思います。芝居も昨年どおり本格的にやっていきましょう」と言ってくれました。
ナマ歌、ナマ声、ナマ音のコンセプトはそのまま生かそう…と、稽古初日に集まった仲間たちとで、合意しました。その後、みんなで、なぜ昨年はあれだけのご高評をいただけたのか、感想を出しあったら、結局「台本だよ」という結論になったようです…。ハイ…。
となると、脚本と演出を担当するボクには、大変な責任がありますね。芝居もかっちりと演じられる本にせい、とのことです。責任を取ることが、三度の飯より好きなボクは、ますます燃えちゃいますが、反面は…ヤバッ! です。
そこでボク自身がイメージを変換しました。音楽劇だけど…音楽が主役ではない舞台…物語がはっきりして、音楽が満ちあふれた舞台…ってことだなッ…とイメージを確定です。
例によって、使う音楽は誰でも知っているポピュラーな曲を選曲することは今までどおり続行して…。
ああだこうだ、と連想しているうちに、今回の物語が完成。
昨年は、「母さんの物語」だったから、今年は「父さんと息子の物語」…、なのですがここはひとつ、「ファンタジー」に仕上げちゃおう…って。音楽もいろんな調子で使えそうだし…ねッ。
ファンタジー。そうです、現実にはありもしない「おとぎ話」です。それを今回やってみよう、と決意したのです!
なんでもあり、がファンタジーを一層おもしろくしてくれます。なんでも書けます。とくに神様でもないボクが、神様みたいに「時間を操作」できますぞ。
パンフの表紙には「物語」のイメージ、本文には「音楽」のイメージです。開けて中を見ると、なんとも言いようのない子供が書いたみたいな文字が…。そう、今回はおっかないことも平気で起きる「ファンタジー」ですから、ねッ。多少でも、驚いていただきませんと、ねぇ。いかがでしょうか?
さて、岡田誠とピアノ1本でコンサートを創ったのは11年も前のこと。即興の台詞をその場で書いて岡田に手渡したことが、ボクの三十年以上も眠らせていた「舞台根性」を学生時代のように、復活させるきっかけになりました…。あれから、もう十年が経ちました。
ボクにとっては、「夏休み」だけの一作品ではありますが、心にしまってある想い出の人たちとの出逢いと、そして別れの中で見てきた人々の人生とボクの生きる実感の繋がり。それを「音楽」と「心の声(手紙)」と「お芝居」で皆様に提供できる機会を創ってくれたのが、このカンパニーです。
今年1月、直腸ガンと肝臓ガンが見つかり、肝臓ガンは十年前だったら、手術が出来ないほどの状態でした。入院の際、友だちには誰にも告げずにいましたが、岡田君だけには連絡をしました。岡田君のお母様はガンと十年闘いましたが、数年前に他界なさいました。お母様にはボクもずいぶんお世話になったものです。岡田君は真っ先に駆けつけてくれました。パルコ劇場のプロデュースをしている毛利美咲も見舞いに来てくれました。実は毛利のお父様もガンと闘った人でしたから、ボクがガンと闘うことを知っていろいろとアドバイスをしてくれました。
お陰様で、というか、マグレの人生というか…。「直腸ガン」は、さっさと削除の手術をすませ、肝臓ガンは世界新薬の投与を月間2回続けていたら、なんとまあ…マグレにも…ガンがものスゴイ勢いで減っちゃってます…スイマセン、お騒がせして…。
しかし、こういう大病してみるとおもしろいモノで、人との関係が明確になりますね。
心が折れそうな病気なんでしょうが、ボクは…なんといいますか、折れそうな雰囲気ではないのですよ。「マグレの人生」というべきなのか…人生の節々で、出逢う人がいるのです。まるで、台本のように、はっきりと「善い人」と出逢う運命になっているようです。
病院は一見どこにでもある、街の病院です。テレビドラマで見るようなジジババの集会所みたい。そう、家庭的な雰囲気。この病院がまさかあの天皇陛下を手術して話題になった順天堂大学直系病院とは…。
おかげで、善い先生と出逢うことになり、韓国での仕事も続けられる体が蘇り、そして、この「ユーガットメール」の台本を書き上げて、再び皆様と人生を分かちあえる日々が復活できるとは…もう、「感謝」以外のことばは見つかりません。ハイ! ついでに、反対派の声を押し切って「GT-R」も復活しちゃいました。
そんなこんなで、こんな表紙にしてみたのですが、よくよく見るとどことなく、韓流的な感じがしてきませんか? 昨年から韓国の釜山で言語学の仕事をしています。これもまた、人との出逢いから実現できました。本公演も韓国で知り合った友だちが「まさみさんって、なんでもするんですねぇ」って、感心しながら、わざわざ日本まで見に来てくれます。 うれしくって! 「カムサハムニダ!」
韓国ドラマと言えば「冬のソナタ」ですね。その後は、ボクには、「春のワルツ」でした…。
今回、台本を書いていた場所は病院です。暇が富士山みたいに沢山あるのですよ。なので、「手紙」のBGMになるピアノ曲を探してました…。そしたら、「春のワルツ」に出くわしました。ボクはこのドラマが大変に気に入ってます。
ハン ヒョジュさんにとって、はじめて日本と出逢った仕事だったはずです。彼女が日本で成功した理由は沢山ありますが、ボクは「声優・加藤忍さん」のがんばりが、彼女をあそこまでのイメージに仕上げたと確信しています。皆様もご承知のとおり、その後の「トンイ」でも、加藤忍さんの声でしたが、ピッタリでしたね。そこでひらめいたのですよ、韓流にしようって。韓国ドラマって、バラードばっか、じゃないですか。もうこの際「手紙」のBGMは、すべて「春のワルツ」のピアノ曲を使っちゃおうと決心しました。バラード、一色にして。
ここまでなら、よくありがちな世間話でしょ。ところが、現実は違うのですよ、とっても大きな贈り物をしてくれましたよ。「ハン ヒョジュさん」と…ナマ声で、おしゃべりをしちゃったのです! びっくり、でしょう。
みっともない話ですが、加藤忍さんの舞台をまだ見たことが無いのですよ。ごめん!でね、見つけたから切符を予約しようと電話しましたら、忍さんご本人が電話に出て…汗が隅田川なみに流れちゃった。
これがそのチラシです。しかも、忍さんはボクにですよぉ、肉筆のお手紙を書いてくれました! 「家宝にします!」って、みんなに報告したら、早速申し込んだ韓流ファンも「ホント、トンイだった!」と喜んでいました。彼女のブログに詳しく申し込み方が記載されていますから、ご利用くださいませ。ほんと、ですから。確か…「加藤忍公式ブログ」です。
さてと、他の舞台はいいとして我がカンパニー。最後になりましたが、今回もまた、例年同様ボランティアの方々にはお世話になりました。この場を借りて、感謝を述べます。
「ありがとうございます」
では、皆様、劇場でお会いしましょう。
…まさみ…