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You've got mail #7 

浦島太郎からの手紙

2009年8月19日(水) 開演 午後7時

2009年8月20日(木) 開演 午後7時

文京シビックセンター・小ホール

<演奏曲目>

第一幕

 ・ ワンボイス

 ・ フラワーM(BGM)

 ・ 「ふるさとの四季」

 ・ 早春賦(BGM)

 ・ おやじとして君に

 ・ 星の界

 ・ 高校三年生

 ・ 大空と大地の中で

 ・ そばかす

 ・ 宇宙戦艦ヤマト

第二幕

 ・ 愛情物語/ショパン ノクターン

 ・ トゥ ナイト

 ・ クレメンタイン(BGM)

 ・ シンプル ソング オブ フリーダム

 ・ タイム ツー ザ グッバイ

 ・ マイメモリー(BGM)

 ・ 浦島太郎の歌(BGM)

 ・ 明日があるさ

 ・ surprise?※♪∞◆!

<演出・脚本 福原正美>

相変わらずの、カラ舞台です。

前回からパーカッションが入り、音の幅にふくらみが出てきました。でも、主旋律はピアノだけ。役者のナマの声とのハーモニーは、例年通りです。

このコンセプトで7年間もやり抜けたことをうれしくもあり、また個人的には誇りに感じています。はじめてご覧になる皆様には、「なんとまあ、経済的な舞台なんだ」と、驚かれたことでしょう。

スターを主役にした「商業演劇」が盛んな日本では、諸外国のようになかなか新人や実力派たちで構成した舞台は数少ないようです。人気のあるタレントや話題性のある役者さんを舞台に乗せれば確かに興行的には安定します。制作でも、諸外国で好評だった「舞台」を日本でも公演できるように「契約購入」することもまた多く見かけます。舞台装置もそっくりそのままですから見応え十分です。台詞や歌は外国語ではなくて、日本語に訳されていますから見やすいわけです。でも、入場料はどうしても高額になってしまうようです…。

ふだん、たくさんの舞台を経験している役者たちはスター演劇に登場してもなかなかそれらしい「役どころ」をいただける機会は案外少ないようです。コーラスにまわって舞台全体を支えていたりしています。逆の見方をすると彼らのように支えてくれる役者たちがいないと「スター演劇」は存在しないともいえるのはないでしょうか。

この「ユーガットメール」の舞台では、テレビでおなじみの、とかいう超有名なタレントは登場していません。どちらかといえば、脇役の方々でしょう。しかし、皆様もご存じの通り、この舞台にあがってくる役者たちはなかなかの実力者揃いです。歌えて、芝居ができて、踊れるという役者はそうそういません。それも、ナマ声で演じきる…。

役者さんたちにしてみると「ユーガットメール」の舞台は「緊張する」とのことです。

というのも、カラ舞台だからです。建て込みや装置が全くないために、普段の舞台よりも自分の演技に観客が集中していることを肌で感じるのだそうです。ですから、失敗しようものならすぐに反応が返ってくる、といいます。反対に、気持ちが入った演技ができたときは、観客と自分たちが一体感になっていることも感じる、といいます。

しかし、考えてみればもともと「舞台演劇」とはそうあるべきではなかったのか、とボクのような素人はそう思います。

この舞台が今年で7回目。

座長・山田展弘さんを中心にして岡田誠さんと林蘭さん、そしてあのおなじみの柳沢三千代さんが中心になってひとつの「カンパニー」として育て上げました。年1回の公演とはいえ、よくぞここまで支えてくれたものだと彼らに拍手を送りたいほどです。

そして彼らは新人を育ててもいます。福原美波さんは高校生からこの舞台に上げていただいています。彼女が演劇に目覚めたのもこの舞台で出逢った諸先輩との交流があったからではないでしょうか。今回も新人では、田中連太郎さんがあがっています。彼にとってはここが初舞台です。

練習日には欠かさずに足を運び、山田さんや林さんからさまざまな演技指導を実践的に伝授されていました。この練習風景を皆様にご覧いただきたいほど、実におもしろかったです。新人たちが必死になって自分の声と動きに葛藤しながら稽古していた姿に、ボクは個人的に忘れかけていた「あるもの」…それは情熱とでもいいますか、懸命さといいますか、そんなものを感じていました。昭和最後世代に平成生まれの新人たちは昭和40年代の体験はありません。その頃に流行していた歌謡曲をどう歌っていいのか、わからないのです。昭和時代を説明しなければ彼らには理解できません。当時の日本がどんな様子だったか、夏祭りとはどんな光景だったのか、学生たちはどんな姿が一般的だったのかなど、先輩たちは音楽とは別の「歴史の勉強」もさせていました。

その光景はボクには、さわやかでした。いまでも尾を引いて残っています…。

さらに、二期会の芝沼香織さんにとってもこの舞台は真剣勝負でした。オペラで歌っているソプラノだけのパートならいいのですが、今回はそうはいきません。まず、不慣れな台詞を覚える必要がありました。そのうえ、他の役者さんとの絡み、つまり演技も要求されました。挙げ句の果ては、いままでのオペラの舞台ではとうてい考えられない「アニメソング」まで歌わなければならないから、さあ大変です。しかも、身振り手振りをつけて…。

オペラ界を代表する二期会の会員がこうした舞台にあがるには、相当な勇気が必要だったことでしょう。香織さんは、「こういう舞台で一度はやってみたいと思っていましたから…」という気持ちがあったようで、今回はすべて「挑戦する気持ちです」とのことでした。そんな意気込みからか、練習にもっとも力を入れて励んだのは香織さんだった、と座長・山田さんが教えてくれました。みんなとのチームワークにも気配りをしていたということです。確かにこういう舞台ではとくにチームワークが要求されますね。

ピアノは今回、江本さんです。山田さんの朗読劇で相棒になったピアニストだった関係から今回みんなと知り合いました。まずは音あわせから練習が始まるこの舞台ですが、ご自宅の練習室を使わせていただきました。新人の田中さんは実は江本さんの教え子なのです。

さてさて。

そんなこんなでみんながそれぞれの個性を持ち出して、創り上げました。

果たしてどんな舞台になりましたか…。

皆様、ご存分にお楽しみください。


…まさみ…

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